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一つの隕石がある星へと向かっていく。この楕円形の黒い隕石は膨らんだり縮んだりを繰り返していた、それはまるで心臓のように。
そう、この隕石は生きているのだ。そして、その目的は食料となる生命体を食い尽くすこと。命あふれる星「地球」それが今回のターゲットである。
「あーっん、もう遅れちゃう」
柊咲良は大きなスポーツバッグを抱え制服姿で駆けている。普段は遅刻などしない彼女だが、どういう訳か今日は目覚まし時計が壊れて起きるのが遅くなってしまったのだ。
「しょうがない、ここは近道で…」
正門から入るのはあきらめ、ショートカットで学校のフェンスを上り直接抜けようと考え学校横の公園に駆け込む。そして学校のフェンスが見えてきた辺りで、咲良は不思議な声を聞く。
『テキガ…クル…カラダヲ捧ゲヨ…』
その声のする方へと向かうと、目の前に野球ボールほどの大きさで薄いピンク色の石が転がっていた。その石は綺麗な球体でガラスのように透き通っていた。
「キレイ…」
それを手にすると吸い込まれそうにな感覚を覚え、時間を忘れてしまうほど見とれてしまう。そう周りの異変に気がつかないほどに。
ドゴーーーンッッ!!!
「キャアアアアアアッ!!」
目の前でガス爆発でも起きたのではないかと思うほどの轟音と衝撃。咲良の身体は耐えきれず吹き飛ばされ、公園の木にバシンッ!と叩きつけられてしまう。
「うう…」
全身がバラバラになってしまいそうな痛みが咲良を襲う。意識が朦朧とし、視界がぼやけ、口から血が滝のようにこぼれ、口内が血の味が鉄の味で満たされる。「ああ、私は助からないんだな…」直感的に死を感じる。
「山…?」
そんな時、巨大な黒い塊が咲良の視界に入ってきた。あまりの大きさに突然山が目の前に生えてきたのかと錯覚してしまうほど、それは大きかった。おそらくはこの衝撃と音の正体だろう事はすぐに想像できた。
『コロセ…』
(また…聞こえた…どこから?)
『テキヲ…コロセ!』
(何を…?)
右の掌から熱を感じる。先ほど拾った宝石はいまだ握ったままだったのだ。そして謎の声はその石から感じる。
『コノ…星ノテキヲ…排除セヨッ!!』
宝石は突然輝き、咲良の身体の中心へ向かい転がっていく。胸の谷間、肋骨の間から少し上の部分、ちょうど心臓の真上で石は動きを止め。
『チカラヲ…与エヨウ』
その言葉とともに宝石が咲良の身体に沈んでいく。まるで沼に吸い込まれていくように。
「アアァァァァァァッッッ!熱いィィッ!」
心臓が火鉢に当てられたように痛む。なにか別のものに造り替えられていくように苦しい。怪我で肉体は動かず、ただその場で痛みを耐えているのみだ。
「ううううう…いやぁ…なに…これ…」
そして心臓が変化していくとともに、全身の血管になにか血液とは別のものが流し込まれていく。細胞ごと変わっていってしまっていのか、全身の毛穴からもなにか吹き出してしまいそうだ。
(―――ッ?痛みが消えた?)
痛みで動けなかった身体が液体の循環が指先まで届いたとき、軽くなる。身体の内側から力があふれて肉体がどんどん大きくなっていくように思えた。いや実際咲良の身体はどんどん膨張していき。
『サア、闘ウノダッ!』
まぶしい桃色の光に包まれる咲良、そしてその光の中からピンク色の巨人が姿を現す。
ここからジュエリアン・ローズこと柊咲良のつらく果てない戦いが始まる―